こっそり、ひっそり、どっぷりと

本日下高井戸のレイトショーで

 

ヤン・シュヴァンクマイエルの
「 悦楽共犯者 」を見た。

 


ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者 [DVD] ヤン・シュヴァンクマイエル 悦楽共犯者 [DVD]
(2005/02/23)


商品詳細を見る



ヤン・シュヴァンクマイエル という人は
次の戯曲に書こうと色々調べていたら名前がやたら出てくるので
大変気になっていた人物。

この作品は、『フェティシズム』という事に真っ向から挑んでいる。

現実に『フェティシズム』に没頭している誰かの姿を
生で目撃してしまったらドン引くんだろうけど、
彼ら(彼女ら)は人目をはばかり、
こっそり、ひっそり、どっぷりと自分の世界を満たしていく。

でも、それはもう生き死にをかけるくらい、
命がけってなくらい、
自分の世界作りに没頭していく姿は
『キモい』 って言葉だけで片付けられないくらい
愛おしくて、人間臭く、そして切ない。
滑稽で悲しくて可笑しい。

決しておススメ!って感じの映画ではないけれど、
軽くオエッって思っちゃったシーンもあったけど、
ギリギリの際の所で品が保たれていて私は好きでした。

この監督はものすごく純粋で
潔癖な性格なのかもしれないなぁと思った。
生きる事は汚いからこそ美しい。

ただただ世間の人が「常識的に」「一般的に」考える、
≪キレい≫な物や思考、嗜好に囲まれて生きていくのは
簡単なようだけれど、理性という殻に守られていて、
それは人間の『本能』にちょっと反発しているというか、
人間としてある姿から少し歪んでいるのかもしれない。

食欲・性欲といった『欲』『本能』に正直な事が
ものすごくグロテスクだったりシュールだったりするのだけれど、
本来の人間の姿であり、まじりっけゼロのピュアな人間の姿なんじゃない?
そして、皆も人目をはばかりながらこっそり、ひっそり、どっぷり
自分の世界に没頭しているんじゃないの??
ま、おおっぴらに言わなくても良いけどね。
暗黙の了解の中の『暗』にほんの少しだけ光を当ててみたけど。
どう?
命をかけるくらい、自分の世界を満たすために何かやってるの?
どう?

って言われているような気がして、
<自分の世界作り>ってことに何だか、もっと真摯にピュアに
向かっていきたいなって思えた。

 

 

谷口幸穂